まずは、北鎌倉駅東口を出てすぐの場所にある円覚寺へ。1282年（弘安5年）、蒙古襲来で戦没した多くの人々の霊を鎮魂する目的で創建されました。境内はすべて国の史跡指定となっています。

6万平方メートルという広大な敷地には、お釈迦様の遺骨をまつる「舎利殿」や鎌倉時代の代表的な名鐘「洪鐘」といった国宝も。

歴史的建造物もさることながら、美しい植栽もこの境内の見どころ。6月はヤマアジサイを中心に約7～8種類のあじさいが咲き誇ります。

境内のあらゆるエリアで鑑賞できるあじさい。特に「山門」から「仏殿」の間では色とりどりの花景色が楽しめます。

静謐かつ荘厳な雰囲気の境内に華を添えていた、和装の女性。この日はイベントが開催されていたようです。

僧侶の方々が連なって移動する場面にも遭遇できました。その威厳高き姿に、取材チームも姿勢を正して思わず合掌。

総門を出て、目の前の線路を渡ったエリアにある「白鷲池」からは、あじさいと横須賀線の2ショット写真も撮影できます。

さまざまな角度から、ゆったりとあじさいを堪能できる円覚寺。清々しい気持ちで旅をスタートできます！

お次は円覚寺から徒歩8分、“あじさい寺”として知られる明月院へ。創建は1160年（前永歴元年）。円覚寺同様、国指定史跡の由緒ある寺院です。

春はモモ、サクラ、夏はハナショウブ、秋はキンモクセイや紅葉、冬はスイセンや梅……と四季折々の植物が楽しめるスポットですが、やはり見ごたえがあるのはあじさいのシーズン。

入口から、迫力あるあじさいの姿に思わず目を奪われます。開門は朝9時。6月中はかなり混雑するため、早め、もしくは閉館直前の入館がオススメです。

境内では満開時、約2,500株のヒメアジサイが咲き誇ります。「明月院ブルー」で染まる景色は圧巻！の一言。鎌倉石でつくられた参道が華やぐ季節です。

本記事冒頭の写真、季節の花を抱える「花想い地蔵」や本堂の奥にある円窓「悟りの窓」など、思わずシャッターを切りたくなるような粋な演出が施されているのも明月院の特徴です。
あじさいのみならず、細部にも目配せしながらゆっくり歩くと、素敵な発見があるかも！？

明月院のご本尊である聖観世音菩薩の御朱印（300円）も授かりました。本堂横の寺務所では、そのほか御朱印やお守り、絵馬も授与されています。

出口のすぐそばには静かな竹林も。美しい景観に出会ったあとの興奮を、ここで落ち着かせるのもよいかもしれません。

ランチは、牛煮込み専門フレンチ「北鎌倉 紫‐ゆかり‐」へ。明月院から北鎌倉駅へ向かう通り沿いにあります。

奥ゆかしい門をくぐり、店内に入ると和洋がミックスされた気品ある空間。思わずため息がもれてしまいました。

このお店をプロデュースする中嶋秀之氏は、鎌倉を代表するフランス料理の名店「レストランミッシェルナカジマ」のオーナーシェフ。旬の地元食材を活かした極上のフレンチが味わえます。

今回セレクトしたのは、サラダとスープが両方楽しめるランチセット4,500円。（サラダかスープを選ぶセットは3,500円）

こちらは「鎌倉、三浦直送20品目の彩り野菜サラダ」。鎌倉野菜の特徴は、生で美味しく食べられるカラフルな品種が多いこと。ニンジンはオレンジのほかに、黄、白、エンジがあるそう。目で楽しむだけでなく、地元の新鮮な野菜を20品目も味わえるなんて！とても贅沢な一品です。

本日のスープ。この日は「しらすとホワイトアスパラガスのスープ」でした。しらすは湘南の名産。まさかホワイトアスパラガスのスープに絡めて味わえるとは、嬉しいサプライズです。

自家製ライ麦パンは、老麺法で練った生地を低温発酵。毎朝、オープン直前に焼きあがるのだそう。モチモチで弾力ある食感が印象的でした。

メインは看板メニュー「国産牛頬肉のビロード煮(赤ワイン煮込み）)。ナイフがふわっと入る柔らかさ、口に含んだ瞬間に感じる粘り気ある旨味。裏ごしした煮込みソースが肉全体に絡み、さらなる美味しさが広がります。味わうごとに時間と手間が感じられる一品です。

最後に、単品で名物の「紫‐ゆかり‐プリン（600円）」をオーダー。神奈川名産・平飼いブランド有精卵「さがみっこ」と生クリームをふんだんを使用した濃厚さと「これは……飲み物？！」と思ってしまうほどの口どけのよさが特徴的なプリンです。苦みのあるキャラメルソースが後味をより豊かに。

すべてにおいて独自のこだわりと丁寧さが光る名店。6月は、敷地内に植えられたガクアジサイやヤマアジサイ、タマアジサイなど約50株のあじさいが華を添えます。

あじさいめぐりを満喫したあとは、七里ガ浜へ。鎌倉を代表する海岸エリアです。北鎌倉からはJR横須賀線で鎌倉駅下車、江ノ電に乗り換えて約30分。

小さくて可愛らしい江ノ電は、鎌倉のマスコット的存在。車両は近代的なものからレトロなデザインまで6種類、どれに乗れるかも楽しみのひとつです。民家のすぐ横をするりと通り抜けるさまは必見！

海岸に出て、砂浜でまったりと過ごすのもオツですが、海を眺めつつカフェを楽しみたいなら「Windera Cafe」へ。

七里ガ浜駅から歩いて4分。湘南の魚介や鎌倉の熟成肉専門店から仕入れた“無カビ熟成肉”のメニューを提供する「surf & turf（サーフ&ターフ）」をコンセプトの、このお店。湘南の海に映える、カラフルなドリンクメニューも充実しています。

こちらは「富士山 ～Fujiyamaクリームソーダ（1,000円）」。爽快感のあるソーダが、アイスクリームと生クリームの濃厚さをまろやかにし、ほどよく喉を潤します。
16時以降は、オレンジ色の「富士山 ～Fujiyamaサンセットソーダ（1,000円）」も提供。地平線に沈む夕日とのショット、ぜひトライしてみたいですね。

左から、サトウキビを加えて後味さっぱりの「ヘーゼルナッツコーヒー（780円）」、オレンジシロップで仕上げた「オレンジショコラ（900円）」、ココナッツミルクの代わりにオーツミルクを使用したヘルシーな「ピニャコラーダ風オーツミルク（900円）」。

ビビッドなカラーと甘味で、旅の疲れが一気に吹き飛ぶこと、間違いなしです！

日本の食卓に欠かせない梅。各家庭で自家製の梅干しや梅酒など保存食をつくる「梅仕事」は、通常6月の収穫期に行いますが、鎌倉には一年中“梅体験”できる施設があります。

鎌倉駅西口から徒歩1分の場所にある「蝶矢」は、「梅1粒から楽しむ、100通りの梅体験」をコンセプトにした体験型店舗。梅、砂糖、酒を自分好みに組み合わせた梅シロップ・梅酒がつくれます。

古民家をリノベーションしたという店舗。清潔感のある、白亜の門をくぐると……

白を基調にした、爽やかな空間が広がります。つきあたりの壁には、梅シロップの瓶がずらり。つくってから1日ごとの変化がわかるよう、展示されているのだそう。

梅体験は専用サイトからの事前予約制。平日は10時～17時スタート、土日祝日は10時～18時スタートの各1時間コースです。

体験以外の入店については、予約不要。テイクアウトドリンクや梅シロップ・梅酒手作りキット、梅酒が販売されています。

写真左から「ソーダ割り（550円）」「緑茶割り（550円）」。どちらも、完熟南高梅の風味が色濃く感じられる1杯です。ドリンクに浮かぶ美しい梅は、肉厚で、とてもジューシー。つぶしながら飲むと、味の変化も楽しめます。梅の概念が変わるほどのクオリティの高さを感じました。

今回は、梅酒手作りキットを購入しました。

まず、ボトルをS（1杯分1,500円）、M（3杯分2,400円）、L（6杯分3,300円）の全3種類から、次に梅5種（完熟南高／白加賀／有機南高／NK14種ラッシュ／パープルクイーン）、砂糖5種（氷砂糖／てんさい糖／こんぺい糖／有機アガベシロップ／はちみつ）、お酒4種（ウォッカ／ジン／ホワイトラム／ブランデー）の中からそれぞれ好みの味をセレクトします。※材料によって値段は異なります。

選んだのは、桃のようなフルーティさのある「完熟南高」、可愛らしい「こんぺい糖」、バニラのような風味のある「ホワイトラム」。サイズは欲張ってLサイズにしました。

手順はとても簡単。瓶に、梅・砂糖・梅……の順に入れ、お酒を注ぐだけ。通常のキットでは、梅が呼吸できるよう、キャップが閉まらないようになっています。旅行で持ち歩く際は、「こぼれないキャップ（440円）」を購入し、さらにマスキングテープで密封すると万全です。

ホテルの客室でも気軽につくれます。ぜひ試してみてはいかがでしょう。

最後にご紹介するのは「お料理 とみやま」。三浦・佐島のほか、関東近郊の産地から仕入れた選りすぐりの食材を、最高の調理で味わえる本格和食のお店です。

ビルの2階にある店舗。賑やかな小町通りにあるとは思えない、静かで落ち着いた雰囲気です。閉店時間が早めな鎌倉の街で22時まで営業しているお店はとても貴重！

人気メニュー「ねぎとろ釜揚げしらす丼（1,580円）」。湘南の定番メニューなのに、どこか新しさを感じる味わい。しらす・ねぎとろ・あおさの絶妙なバランスが虜になる一品です。

あしらいも美しい「ねばねばアカモク納豆（680円）」。少しの塩気と粘り食感で、どんどんお酒が進みます。

「地鶏の照り焼き（1,400円）」は外国人客に一番人気のメニュー。しっかり味付けされた皮とジューシーな肉が口の中で優しいハーモニーとなり、鶏の旨味を余すところなく味わえます。あまりの美味しさに、思わず唸ってしまいました。

乾杯はぜひ「鎌倉ビール（950円）」で。鎌倉市唯一のビール醸造所でつくられたクラフトビールです。甘みと旨み、苦味を活かしながら調和させた、後味が印象的な一杯。旅の余韻を楽しむにはもってこいですね。